先日、長年の夢だったシャープミュージアムに行くことができました。
シャープペンシルを集め始めた当時から、このミュージアムに
シャープペンシルが展示されていることは知っていたのですが、なかなか遠いのと
平日しか開いておらず、予約制であったため、行く機会を作ることができていませんでした。
3年前、関東より三重に引っ越して近くなったため、
会社が平日休みの時に合わせて、念願かなってやっと訪問することができました。
通常はシャープの歴史と技術を学ぶミュージアムで、
1時間ほど館員の方から説明を受けながら周る形式ですが、
今回は予約時にシャープペンシルだけに興味がある意向を伝えたため、
館員の方に質問をしながら、見せて頂く形式にしてもらいました。
かなりマニアック過ぎた質問で館員の方にご迷惑をかけましたが、
真摯にご対応して下さり、とても有意義な時間を過ごすことができました。
入口入ってすぐの所にシャープの歴史の始まりであるシャープペンシルの展示がありましたが、
驚いたことにシャープペンシル工場の模型も展示されていました。
工員がシャープペンシルを作っている風景が再現されていて、
当時の生産現場の雰囲気が伝わりとても良い展示でした。
そして、その奥にシャープペンシルの展示がありました。
今回の展示本数は計40本ほどでしたが、よく広告や復刻で取り上げられている
らせん状の早川式繰出鉛筆は、9月まで大阪の「The世界一展」に貸し出し中のため、
見ることができませんでした、残念・・・。
展示されていたペンシルたちはすべて早川徳次氏の私物だったそうです。
そのため、内部機構が見えていたり、試作品みたいなシャープペンシルもありました。
やはりミュージアムなので、実物は出したり触ったりすることはできず、
どのような刻印がされているかは判らないものが多かったです。
今回、館員さんと話をしていて、わかったことは、
初期に輸出したのはアメリカだけではなくヨーロッパにもしていたとのことでした。
これは第一次世界大戦でドイツのペンシルが輸入できなくなったため、日本のペンシルが注目を浴び、
輸入し始めたようでした。
そのため、ヨーロッパに早川のペンシルがあってもおかしくないことがわかりました。
以前紹介したスペインから落札した早川式繰出鉛筆も当時輸出されたものだということがわかり、
なぜスペインに早川式ペンシルが?という謎も解明されてとてもすっきりしました。
展示の品の中に、1979年(昭和54年)アメリカ・ニュージャージー州の古美術店で発見され、
当時の早川会長に届けられた早川式繰出し鉛筆も展示されていました。
このペンシルには見た限りでは刻印とかが無く、どうして早川製だとわかったのか聞き忘れてしまったので、
今度伺った時に聞いてみることにします。
シャープペンシルの芯も展示されていましたが、これらは早川で製作していたものではなく、
当時のものとして展示してあるとのことでした。。
赤、黒の2色の芯でしたが、どこのメーカーのものかは判りませんでした。
この後の展示はラジオから始まり、家電のシャープの歴史になっていきますが、
その途中でシャープペンシルを製造していた当時の広告と写真が展示されていました。
広告は2種類あり、一つは”エバーレデーシャープ鉛筆”の広告でした。
これとほぼ同じものは以前、万年筆コレクターのS氏よりコピーを頂いたことがあり、
当日も持参していたので、よく比較してみました。
そうすると、文言や図は全く同じで、発売元のみが異なっていて、
コピーの方は「早川兄弟商会」、展示されていた広告は「福井商店」だったので、
東京で販売したものと大阪で販売したものとの違いだったと思われます。
もう一つの広告は”早川商事合名社”の広告でした。
これは早川徳次氏のお兄さん早川政治氏が関東大震災後、東京に残って
文房具製造を続けていた時の社名だと思います。
そのため、万年筆などのクリップ製造等の金属部品の製造も行っていたことがわかります。
写真も2種類あり、一つは大正9年のショーウィンドーの写真でした。
この写真は初めて見ました。
エバーレデーシャープ鉛筆の宣伝が大々的に行われていて、
チャップリンっぽい人物が背景に起用されていたり、
子供がペンシルを抱えた広告などあり、とても興味深かったです。
良く見ると携帯用の鎖付きのペンシルなども展示されているようでした。
このショーウィンドーはどこで行われていたものだったのでしょうか、
これも今度伺った時に聞いてみることにします。
もう一つの広告は大正11年の平和記念・東京博覧会の時の出展ブースの写真でした。
この写真は見たことがありましたが、細部まで詳しく見ることができました。
写真の左下に展示してあるシャープペンシルで、ボディに黒い柄みたいなペンシルが
写っており、金属表面に塗装か、加工したペンシルも製造していたのかもしれない事がわかりました。
シャープの歴史を展示するブースの最後に、シャープで生み出したアイデア製品の展示があり、
そこにも万年カレンダー付き、方位磁石付き、鋏付き、体温計付きの4本の
シャープペンシルが紹介されていました。
方位磁石付きは以前広告を紹介したことがありますが、このタイプとは異なっていたため、
試作段階のペンシルなのかもしれません。
今回は1時間半弱ゆっくりと見学させて頂き、お付き合い頂いた館員の方に
感謝の意を表したいと思います。
また、記念品として頂いたものが(Pilot製ですが)シャープペンシルだったことが
最後にとても嬉しかったです。
展示されていたシャープペンシルについては、撮ってきた写真を良く見て
後日載せていこうと思います。